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川上未映子 - 乳と卵

乳と卵乳と卵
(2008/02/22)
川上 未映子

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読んだ。面白いね。いや、作品の面白さはそこそこか。この作者、川上未映子という人間が、俺にとって、とてつもなく面白い。

「受賞と決まってしまった」の発言に、電車の中で思わず笑ってしまった石原慎太郎の選評。「どこででもあり得る豊胸手術をわざわざ東京までうけにくる女にとっての、乳房のメタファとしての意味が伝わってこない」には、俺も同感。確かに俺は女の人の身体については、女の人ほど分かるはずもなく、共感を持ちたくても持てない部分はいくつもあった。だからこそ、俺はそこを理解できるレベルまで落とせ、とまではもちろん言わないが、せめて、女の人ってこういうものなんですよ、くらいの翻訳は欲しかった。俺もまんまと思ってしまったのだが、一目で、町田康の影響を受けた文体だと思った。しかし、これは樋口一葉からの影響なのだそうだ。とにかく、俺は川上未映子という人間が大好きになってしまった。とっつきにくい文体ではあるが、川上未映子の感性、感覚がよく表れていて、とても心地が良かった。擬音語、擬態語を考えるのも川上未映子は好きだと思う。さすが詩人だと思った。この世界観を大事に守って欲しい。

脱線するが、候補に挙がっていた山崎ナオコーラ「カツラ美容室分室」の酷評の嵐には笑った。「スカスカで何もない」。村上龍の選評にさらに笑わされる。「スカスカで何もない時代状況を映し出す優れたドキュメントとして・・」ジャンル変わっとるがな!いやしかし、この村上龍の感覚は、俺は大好きだ。仕掛けのまったくない「ただ流れる日々の無劇の劇のスケッチ」と石原慎太郎が表すように、最近の小説は痛みのないより浅薄な日常に近づき過ぎてしまったと俺も思う。「強姦された。友達に頑張れと言われた。だから頑張る」で読み物が成り立つ世の中になってしまったと川上未映子も嘆いていて、これが大衆にウケるということは、遅かれ早かれ文学にも飛び火し、悪い方向へ転んでしまうんじゃないかと想像すると確かにとても哀しい。村上龍、町田康の出現で文学は少しずつ変わってきたわけだが(俺の主観だけど)、「哲学性を含んだ人生論」と言い換えられるような文学は、無くなって欲しくない。

川上未映子という人間に惚れた。
・学生の頃の教科書に載っていた文学が意外と面白かった。
・「物語」だけでは満足できず、自分の中の言葉にできない不安や問いを本を通して考えたかった。
・調子乗りだけど、ふと哲学的な思考に耽ってしまう、哲学的な思索をしていてもお腹は減る。
・自分が何になれるかではなく、何ができるかにしか興味がない

挙げると切りが無いのだが、とにかく川上未映子には唸るほど共感を覚える。俺が惚れるのに特に決め手となったのは「子供の頃、青いという字をじっと見て、ちっとも青くないことに驚いた」の一言。この感覚を持っている人間が、作家として世に出てくれるとは、思っていなかった。「柔軟」という漢字が、まったく柔らかく感じられないとか、俺も未だに思うから。

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Author:La-Zoo
学校や会社という狭い世界で役職や地位について、偉そうに粋がっている人間があまりに多い。大そうな言葉を並べていても、一つ一つの言葉には何の深みもない。そんな世界が私には窮屈でしかたがない。どこの世界でもそれは同じなのかもしれないが、少なくとも、表現の場では思い上がった深みのない言葉は無視される。真実の言葉しか受け入れられない。だから私は、文壇に上がりたい。
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